「歯医者でボトックス」って実際どうなの?
費用相場や保険適用、美容クリニックとの違いなど、気になる疑問を医師が解説します。
歯ぎしり・食いしばり治療、ガミースマイル改善など、歯科医院ならではのメリットも。
気になる方はぜひチェックしてみてください。
目次
1. 歯医者でボトックス治療を受ける際の費用相場
歯ぎしりや食いしばりの改善目的でボトックス治療(ボツリヌストキシン注射)を歯医者で受ける場合、費用は自由診療となり、全額自己負担です。
ここでは、一般的な費用相場についてご紹介します。
(1)ボトックス治療の費用相場
ボトックス治療は基本的に保険診療の対象にならないため、費用は歯科医院によって異なります。
おおよその相場は1万4,000円~6万円程度です。
症状の程度や使用する製剤の種類、必要な投与量などによって費用は変動します。
また、診察料や検査料が追加でかかることもあります。
(2)ボトックス治療の費用に幅がある理由
歯医者でのボトックス治療の費用は、症状の強さ、口腔内の状態のほか、使用する製剤の種類によっても大きく異なります。
ボトックス治療とは、「ボツリヌストキシン製剤を使った治療」のこと。
ボツリヌストキシン製剤にはアメリカ製やイギリス製、韓国製など、いくつかの種類があり、それぞれ価格が異なります。
事前のカウンセリングで、使用する製剤や想定される費用についてしっかり確認しておくことをおすすめします。
(3)ボトックス治療が医療費控除の対象になるケース
ボトックス治療は、一定の条件を満たす場合は医療費控除の対象となる可能性があります。
例えば、歯ぎしりや食いしばりによる歯の異常な摩耗や顎関節症の痛みを改善するためのボトックス治療は、医療行為として認められ、医療費控除の対象となります。
一方で、美容目的や健康増進の目的でボトックス治療を受ける場合は、医療費控除の対象外です。
例えばガミースマイルの改善のみを目的とした場合は、審美的な治療と見なされるため、医療費控除の適用は難しいでしょう。
また医療費控除の適用を受けるには、歯科医師による診断書や領収書などの書類が必要です。
治療の必要性や内容を明確に記載してもらい、確定申告の際に提出します。
医療費控除の対象となるかどうか不明な場合は、事前に歯科医師や税理士に相談することをおすすめします。
(4)ボトックス治療は保険適用になる?
歯科医院でのボトックス治療は、原則保険適用外となります。
つまり、治療費用は全額自己負担です。
保険適用にはなりませんが、歯ぎしりなどの治療目的でのボトックス注射は医療費控除の対象となりますので、確定申告の際に還付を受けられる可能性があります。
無料相談では、最適な矯正方法のご提案だけでなく、ボトックスで症状が緩和するかどうかもご相談いただけます。
2. 歯医者でのボトックス治療とは
ここでは、歯科医院でのボトックス治療について解説します。
(1)ボトックス治療とは
ボトックス治療とは、ボツリヌス菌から作られるタンパク質の一種である「ボツリヌストキシン製剤」を注射することで、筋肉の動きを抑制する治療法です。
ボツリヌストキシン製剤の代名詞として「ボトックス」の名前が認知されるようになりました。
ボトックス製剤に含まれるボツリヌス毒素が、筋肉を動かす神経の伝達物質の放出を阻害することで、一定期間筋肉を弛緩させる効果があります。
医療分野では以下のような目的で用いられます。
- 眼瞼けいれん、片側顔面けいれんなどの治療
- 脳性麻痺などに伴う手足のつっぱり改善
- 美容目的のシワ取り、エラ張りの改善、口角の引き上げなど
- ガミースマイルの改善
- 肩こりの改善
- ワキガの改善(過剰な発汗の抑制)
歯科領域では、歯ぎしりや食いしばりによる過剰な筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。
個人差がありますが、ボトックスの効果の持続期間は3~6か月程度といわれています。
(2)歯医者でのボトックス治療の適用症例・範囲
歯科医院では、口腔機能に関わりのある範囲のみボトックス治療が可能です。
おでこなどの口回り以外の部分や、身体への治療はできません。
歯科医院でのボトックス治療は、主に以下の3つの適用範囲で行われています。
①歯ぎしり・食いしばりの改善
就寝中などの無意識に行う歯ぎしりや日中の食いしばりは、歯の異常な摩耗や顎関節症状を引き起こします。
こうした症状にボトックス注射を行うことで、過剰な筋肉の緊張を緩和し症状を改善します。
これにより、
- 歯ぎしりや食いしばりの軽減
- 歯や歯ぐきへの負担軽減
- 顎や頬の痛みの緩和
- 頭痛や肩こりの改善
などの効果が期待できます。
②ガミースマイルの改善
歯医者でのボトックス治療では、ガミースマイルの改善にも効果が期待できます。
ガミースマイルとは、笑ったときに歯茎が過剰に見えてしまう状態のことを指します。
口角挙筋にボトックスを注入することで上唇の動きを抑制できるので、ガミースマイルが改善されます。
また、ガミースマイルの人は歯並びに問題があるケースも少なくありません。
その場合は、歯科矯正での治療が適しています。
③顎関節症の緩和
顎関節症の症状は、顎の関節を構成する骨・筋肉・関節円板・靭帯などの異常によって生じます。
特に咬筋や側頭筋などの筋肉の異常が原因の顎関節症I型(がくかんせつしょういちがた)の場合、ボトックス治療が有効です。
こうした筋肉にボトックス注射を行うことで、筋肉の緊張を和らげ症状を緩和します。
(参考:e-ヘルスネット)
また、噛み合わせの問題により顎関節に異常をきたしている場合は、歯列矯正が有効です。
顎関節や食いしばりなどのお悩みをお持ちの方は、ぜひhanaravi(ハナラビ)の無料相談へお越しください。
(3)歯医者で使用されるボトックス製剤の種類
歯科医院で使用される代表的なボトックス製剤をご紹介します。
ボトックスビスタ®
アメリカのアラガン社が製造するボツリヌストキシン製剤A型で、世界で初めて医療用に承認されたボツリヌストキシン製剤です。
アメリカのFDA(米食品医薬品局)の承認を受けています。
長い歴史と実績を持つ製剤として知られており、日本で眉間や目尻の表情皺の治療に対して製造販売承認を取得しているA型ボツリヌス毒素製剤です。(参考:厚生労働省)
比較的高額ですが、安全性の高い製剤です。
ニューロノックス
Neuronox(ニューロノックス)は、韓国のMedytox社が製造・販売するA型ボツリヌストキシン製剤です。
韓国のMFDS(韓国食品医薬品安全省)から認可を受けています。
効果や安全性が確認されており、世界中で広く使用されているボツリヌストキシン製剤の一つです。
日本の歯科医院でも広く使用されています。
イノトックス
韓国製のボツリヌストキシン製剤で、ニューロノックスと比較して安価であることが特徴です。
効果の発現や持続期間はニューロノックスとほぼ同等です。
韓国のMFDS(韓国食品医薬品安全省)の承認を得ています。
コアトックス
コアトックスも韓国製のボツリヌストキシン製剤のひとつです。
コアトックスは純度が高く、体内で抗体ができにくいと言われています。
ニューロノックスやイノトックス同様、韓国のMFDS(韓国食品医薬品安全省)の承認を得ています。
これらの製剤によるボトックス治療と歯科矯正は相性が良く、矯正中の噛み合わせの変化による食いしばり等の緩和にも使用されます。
3. 歯医者と美容クリニックでのボトックス治療の違い
歯医者と美容クリニックでのボトックス治療の違いについて解説します。
(1)専門性の違い
歯医者と美容クリニックでは、ボトックス治療を行う施術者の専門性に大きな違いがあります。
歯医者の場合、口腔領域の解剖学や機能に精通した歯科医師が施術を行います。
一方、美容クリニックでは皮膚科や形成外科を専門とする医師が施術することが一般的です。
つまり、口腔内の機能改善を主眼に置くなら歯医者、フェイスラインやシワの改善が目的なら美容クリニックと、施術者の専門性に基づいて受診先を選ぶことが肝要と言えるでしょう。
(2)治療目的の違い
歯医者と美容クリニックでは、ボトックス治療の主な目的が異なります。
歯医者でのボトックス治療は、口腔周辺の機能改善を目的に行います。
一方、美容クリニックでのボトックス治療は、美容面でのアプローチが中心です。
同じボトックス治療でも施術者によって治療目的が異なるため、自身の悩みに合わせて適切な施設を選ぶことが大切です。
(3)治療できる範囲の違い
歯科医院と美容クリニックでは、ボトックス治療の対象となる範囲に違いがあります。
歯科医院では、主に口腔周辺の筋肉を対象としたボトックス治療を行います。
基本的に審美目的の治療ではなく、口腔機能改善が目的での治療です。
そのため、額や目尻のシワなどに対するボトックス治療は歯科医師は行えません。
一方、美容クリニックでは、口腔周辺を含めた顔全体や、身体への治療も行えます。
範囲は広いですが、嚙み合わせなどの改善を目的とする場合は、歯科領域や口腔機能の専門知識のある歯科医院での治療がおすすめです。
以下の表は、歯科医院と美容クリニックでのボトックス治療のメリットとデメリットを比較したものです。
施設 |
メリット |
デメリット |
---|---|---|
歯科医院 |
・歯ぎしり、食いしばり、ガミースマイル、顎関節症状など、口腔関連の問題に特化した治療が可能 ・治療が目的の治療であれば医療費控除の対象になる |
・口腔機能改善目的での治療において審美的な観点を考慮することはあるが、審美目的での治療は原則行っていない |
美容クリニック |
・顔面の美容に特化した専門的な治療が可能 |
・口腔内の機能改善を主目的とした治療は歯科医院ほど専門的ではない |
歯科医院でも審美的な要素を考慮した治療を歯科医師が行う場合がありますが、売り上げ目的で口腔機能とは無関係の場所に施術を行う悪質なケースもあるので注意しましょう。
場合によっては医師法違反に当たります。
そのため、安さやうたい文句に惑わされずに必ず信頼できる歯科医院で施術を行うことが大切です。
ボトックス治療を検討している場合も、提携医院にお気軽にご相談ください。
4. 歯医者でのボトックス治療の流れ
歯医者でボトックス治療を受ける際の流れは以下の通りです。
(1)カウンセリング・診察
ボトックス治療を受ける前に、まずは歯科医師によるカウンセリングと診察が行われます。
歯ぎしりや食いしばりの症状の程度や頻度、日常生活への影響などを詳しく聞き取り、口腔内の状態を確認します。
筋肉の緊張度合いや、噛み合わせのバランスなどもチェックします。
必要に応じてレントゲン撮影や筋電図検査なども行い、総合的に判断してボトックス治療の適応を判断します。
希望や不安な点がある場合はしっかり質問しましょう。
納得した上で治療に進むことが大切です。
(2)ボトックス注射の実施
歯医者でのボトックス注射は、事前の麻酔なしで行われることが一般的です。
痛みが出やすい部位は麻酔クリームの塗布や、アイスパックでの冷やしなどで感覚を鈍らせることもあります。
施術の所要時間は部位によって異なりますが、おおよそ5分から10分程度です。
通常、数日~1週間程度で効果を実感できます。
施術した当日は、湯船に浸かったり激しい運動は控えるようにしましょう。
(3)アフターケア・経過観察
ボトックス治療後は腫れや内出血、痛みなどが一時的に出る場合がありますが、時間の経過とともに自然に改善していきます。
症状が長引く場合は医師に相談しましょう。
最初の1週間は顎が重い・だるい感じがすることもありますが、こちらも時間とともに解消されます。
またボトックスの効果を長続きさせるには、継続的な治療が必要です。
経過観察も含め、定期健診とアフターケアを受けることが大切で、来院頻度の目安は以下の通りです。
通院頻度の目安は3か月に1回程度です。
5. 歯医者でのボトックス治療のメリット
歯科医師によるボトックス治療には、いくつかのメリットがあります。
(1)歯科医師が診断するから、的確な治療が受けられる
歯科医師は、顎の筋肉や噛み合わせ、顎関節など、口周りの構造に精通しています。
この専門知識を活かして、単に症状を和らげるだけでなく、問題の根本原因にアプローチできます。
- 過度のストレスによる筋肉の緊張
- 顎関節症による影響
- 不正咬合による咀嚼筋への負担
といった、さまざまな原因を総合的に評価したうえで、ボトックス注射を行う筋肉の位置や量を正確に決定できるのです。
そのたえ、ボトックス治療をより効果的かつ安全に行うことができます。
(2)見た目と機能改善の両方が実現できる
歯医者でのボトックス治療は、口腔機能と見た目の改善の両方が同時に実現できることもメリットです。
美容クリニックでは主に見た目の改善に焦点を当てますが、歯科医師は口腔機能全体を考慮しながら治療を行います。
例えば、食いしばりを改善するために顎にボトックス治療を施す場合、同時に顎が小さくなる効果も期待できます。
(3)歯科治療と同時進行できる
歯医者でボトックス治療を受けるメリットの一つに、歯科治療と同時に行える点があります。
例えば、こんな悩みを抱えている方はいませんか?
- 歯ぎしりで歯が削れてきた
- 顎関節症の痛みがある
- 同時にエラの張りも気になる
このように、見た目と機能の両方の改善が必要となる場合でも、歯科医師なら一度の診察で全体像を把握し、効率的な治療計画を立てることができます。
これによって、通院回数を減らしたり、治療期間を短縮できる大きなメリットがあります。
時間も手間も大幅に節約できる上に、より効果的な治療結果が得られるというわけです。
このように、歯科医院でボトックス治療を受けることには、さまざまなメリットがあります。
ご希望の場合はボトックス治療の必要性を含め、患者さんひとりひとりにあった、最適な治療計画を提案します。
6.歯医者でのボトックス治療、こんなことに気をつけよう!
歯医者でのボトックス治療を検討する際は、いくつか留意点があります。
(1)質の高い歯科医師を選ぶ
「どの歯医者さんでも同じじゃないの?」
そう思われるかもしれませんが、実は違います。
ボトックス治療には高度な技術が必要。だからこそ、ボトックス治療の経験が豊富な歯科医師を選ぶことが大切なんです。
いい歯科医師を見分けるためには、こんなポイントをチェックしてみてください。
- ボトックス治療の実績は十分?
- 治療内容やリスクについて、丁寧に説明してくれる?
- アフターケアはしっかりしてる?
これらのポイントをしっかりチェックして、信頼できる歯科医師を見つけましょう。
(2)リスクや副作用を理解しておく
どんな治療にもリスクはつきもの。ボトックスも例外ではありません。
でも、事前にきちんと知っておけば怖くありません。むしろ、安心して治療に臨めるんです。
ボトックスの主なリスクや副作用には以下のようなものがあります。
- 内出血や腫れが出る場合がある
- 治療した部分が疲れやすくなることがある
また、治療後はこんなことに気をつける必要があります。
- 治療した部分はマッサージを控える
- 施術当日は激しい運動など、血行が良くなる行動は控えめに
- 男女問わず3ヶ月くらいは避妊が必要
これらを踏まえた上で、歯科医師としっかり相談しながら治療を進めていってください。
(3)ボトックスの持続期間は3~6か月。継続的な治療が必要
ボトックスは、施術後2〜3日後に効果が現れ始め、1〜2週間後に効果が安定しピークに達します。
そこから徐々に効果が弱まっていき、一般的に3〜6ヶ月程度で効果がなくなります。
効果を維持したい場合は定期的な治療が必要になります。
一方で、効果が強すぎた場合も、効果が弱まると元に戻るというメリットもあります。
持続期間には個人差がありますので、継続してボトックスを行う場合は、歯科医師と相談しながら自分に合わせたペースを見つけていきましょう。
7. 歯医者でのボトックス治療に関するよくある質問と回答
最後に、歯医者でのボトックス治療に関するよくある質問に回答します。
(1)ボトックスを打ち続けるとどうなる?
ボトックス治療を継続的に受けていると、効果の持続期間が長くなると言われています。
筋トレをすればするほど筋肉の働きが強くなるように、筋肉の動きを制御すればそれだけ働きが弱まるからです。
打ち続けることによるリスクはほぼありませんが、質の悪い治療を受けた場合、必要以上に表情筋の動きが抑制されてしまい、生活に支障が出る可能性もあります。
治療を受ける歯科医院は慎重に選びましょう。
患者さんひとりひとりにあった、最適な治療計画を提案します。
(2)ボトックス製剤の種類による違いは?
ボトックス製剤の種類による違いは、主に品質や輸送時の管理、価格、成分、製法の違いです。
効果の違いはほとんどありません。
日本では、日本の厚生労働省やアメリカのFDA(米食品医薬品局)、韓国のMFDS(韓国食品医薬品安全省)の承認を得ている安全性の高い製剤を使用することが多いです。
また、ドイツ製やイギリス製の製剤を利用することもあります。
(3)ボトックスを打ってはいけない人は?
ボトックスを打ってはいけない人は、以下に当てはまる人です。
- 妊娠中、授乳中、または妊娠の可能性がある方
- 神経筋疾患の患者 (重症筋無力症、ランバート・イートン症候群など)
- ボツリヌス毒素に対するアレルギー反応の既往がある方
- 注射部位に感染症や炎症がある方
- 血液凝固異常のある方、または抗凝固剤を服用中の方
- ボトックス注射のリスクとベネフィットについて医師から十分な説明を受けていない方
また、以下の項目に該当する場合は、医師に相談の上、慎重に判断する必要があります。
-
特定の薬剤を服用中の方 (筋弛緩剤など)
-
過去に顔面の手術を受けたことがある方
-
ケロイド体質の方
-
過度な皮膚のたるみがある方
-
極端に細い顔の方
-
高齢の方
これらに当てはまらなくても、医師から止められている場合はボトックス治療を行えません。
ボトックス注射を検討する際は、必ず医師の指示に従ってください。
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