海外では「幸運の歯」などとも言われるすきっ歯ですが、日本ではコンプレックスに感じている方も多いのではないでしょうか。
歯と歯の隙間を治すにはどのような方法があるのでしょうか。
歯と歯の隙間を埋める様々な方法について、治療にかかる費用や期間、メリットとデメリットを解説します。
目次
1.すきっ歯(空隙歯列)とは?
歯と歯の間に2mmほどの間隔が空いてしまうすきっ歯は、専門用語では空隙歯列(くうげきしれつ)といいます。
すきっ歯は見た目をコンプレックスに感じるだけでなく、言葉を発する時に歯の隙間から空気が漏れてしまい上手く発音ができない、歯の間に食べ物が詰まりやすいなど機能面でも好ましくない点がいくつもあります。
(1)すきっ歯(空隙歯列)になる原因
すきっ歯は歯と歯の間に隙間ができてしまうことですが、すきっ歯になる原因としては以下の4つが挙げられます。
- 顎の大きさに対して歯が小さいことで隙間が生まれる矮小歯
- 歯が少ないことで隙間が生まれる先天性欠損
- 歯が多いことで歯並びが乱れ隙間が生まれる過剰歯
- 上唇小帯(上唇の内側から前歯の真ん中の歯茎を繋ぐヒダ)の発達が前歯まで深く発達していることで隙間になる
(2)すきっ歯(空隙歯列)で起こる問題
- 見た目をコンプレックスに感じる
- 歯に食べ物が詰まりやすく歯周病や虫歯の原因になる
- 滑舌が悪くなる
- 噛み合わせが悪くなる
2.すきっ歯(空隙歯列)を治す治療方法4選
すきっ歯の治療方法はたくさんあります。
症状によって方法の向き不向きがあったり、メリットデメリットが異なったりするので事前にしっかり調べてから治療に臨むようにしましょう。
今回は代表的な4つの方法について解説をします。
(1)ワイヤー矯正
従来多くの歯列矯正の治療に用いられているのがワイヤー矯正です。
ブラケットという器具を歯の表面に付着させ、ブラケットの間にワイヤーを通してワイヤーの力によって歯を動かします。
歯科矯正治療として一般的にイメージされることが多い方法で、少しずつ歯を移動させて隙間を埋めていく方法です。
そのため、健康な歯を傷つけることが少なく、自身の本来の歯を最大限に活かすことができます。
(2)マウスピース矯正
近年人気のマウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピース型矯正装置を用いて歯科矯正を行います。
ワイヤー矯正と同様に、歯を少しづつ移動させることで前歯の隙間を埋めていきます。
透明な器具は自身での着脱も可能で、食事や口腔ケアを普段通りに行うことができます。
普段から、人前に出る機会が多い職業の方などから注目されている矯正方法です。
(3)ラミネートベニア
ラミネートベニアは歯の表面にあるエナメル質の部分を歯の機能に支障をきたさない範囲で削ります。
その上から歯の色をした、薄いセラミックを接着することで、歯の隙間を「見かけ上」埋める方法です。
(4)ダイレクトボンディング
ダイレクトボンディングは歯の表面に接着剤をつけ、継ぎ目部分にレジンを足すことで歯の隙間を埋める方法です。
歯を削る範囲が小さく、短期間で治療が可能なことで人気がある方法です。
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3.すきっ歯(空隙歯列)治療にかかる費用
すきっ歯を治療する上で気になるのが治療にかかる金額です。
治療方法によって費用は大きく異なるので、しっかりと事前に調べるようにしましょう。
ちなみに、審美目的で行われることの多いすきっ歯の治療は、基本的に保険適用がされないため、費用が高くなる傾向があります。
(1)ワイヤー矯正
ワイヤー矯正によるすきっ歯治療にかかる費用は部分矯正で20〜50万円、全体矯正で60〜130万円程度になることが多いです。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正には、歯列の全体を治療する全体矯正と前歯だけなど気になる部分のみを治療する部分矯正があります。
部分矯正は治療範囲が少ない分価格が安くなるので、自身の症例に合わせてどちらの治療をするのかを判断しましょう。
(2)マウスピース矯正
マウスピース矯正によるすきっ歯治療にかかる費用は部分矯正で10〜40万円、全体矯正で60〜100万円程度になることが多いです。
(3)ラミネートベニア
ラミネートベニアによるすきっ歯治療にかかる費用は使用する材料やクリニックによっても異なりますが、1本あたり7〜18万円が相場です。
ただ、気になる部分1本のみの治療というのは周囲の歯との調和が難しくなります。
そのため、前歯4本、6本、8本など左右対称に複数の歯をまとめて処理するのが一般的です。
(4)ダイレクトボンディング
ダイレクトボンディングによるすきっ歯治療にかかる費用は、使用する材料やクリニックによっても異なりますが、1本あたり2〜5万円が相場です。
気になる部分のみの治療が可能であるため、費用を安く抑えることが可能です。
ただ、経年劣化するため4〜6年が耐久寿命だと言われており、定期的に治療を行う必要があります。
矯正方法 | 費用 | 健康保険適用 |
---|---|---|
ワイヤー矯正 | 部分矯正の場合:20〜50万円前後
全体矯正の場合:60〜130万円前後 |
適用外 |
マウスピース矯正 | 部分矯正の場合:10〜40万円前後
全体矯正の場合:60〜100万円前後 |
適用外 |
ラミネートベニア | 約7〜18万円×本数 (4,6,8本など複数本まとめて治療する必要あり) |
適用外 |
ダイレクトボンディング | 約2〜5万円×本数 | 適用外 |
4.すきっ歯(空隙歯列)矯正にかかる期間
すきっ歯をコンプレックスに感じられている方の中には、近々結婚式や成人式などの大きなイベントを控えている方もいるのではないでしょうか。
そんな方々にとって気になるのはすきっ歯が治るまでの期間です。
治療にかかる期間は、見た目や機能面を回復させるための審美治療と歯並びや噛み合わせを治療する歯科矯正で大きく異なります。
(1)ワイヤー矯正
歯科矯正であるワイヤー矯正によるすきっ歯治療には、部分矯正で2ヶ月〜1年程度、全体矯正で1〜3年程度かかります。
(2)マウスピース矯正
マウスピース矯正はこちらも歯科矯正になるので、すきっ歯治療に部分矯正で2ヶ月〜1年程度、全体矯正で1〜3年程度かかります。
(3)ラミネートベニア
ラミネートベニアは歯を移動させることはなく歯を削ってセラミックを貼り付けるので、治療自体は1回で終わります。
事前事後の通院を含めると2回〜5回の通院で、1ヶ月前後で歯の間の隙間が治ります。
(4)ダイレクトボンディング
ダイレクトボンディングも歯を移動させることなく直接歯の隙間を埋めていくので、治療自体は1回で終わります。
事前事後の通院を含めると2〜5回の通院で、1ヶ月ほどの治療期間になります。
5.各治療方法のメリット・デメリット
4つのすきっ歯の治療法について方法、治療にかかる金額や期間を比べていきました。
症状や希望の治療期間、費用面を含めるとどの治療方法がいいかは一概には言えません。各治療方法のメリット・デメリットを知った上で歯科医師に相談し、自身の症状に合った治療方法で治すことがベストです。
(1)ワイヤー矯正のメリット・デメリット
メリット
- 歯並びや噛み合わせを一緒に治療できる
- 健康な歯を削らず自分の歯を活かせる
- 自分の意思に関係なく24時間装着なので治療期間が伸びることはほとんどない
デメリット
- 歯を移動させるため半年〜1年と治療期間が長い
- 自身での装置着脱は不可能
- 動かした歯が後戻りしないように治療後は動いた歯を安定させる期間が必要(リテーナーの装着が必要)
- 表側矯正の場合、見た目が目立つ
(2)マウスピース矯正のメリット・デメリット
メリット
- 歯並びや噛み合わせを一緒に治療できる
- 健康な歯を削らず自分の歯を活かせる
- 自身で自由に着脱ができるためストレスが少ない
- 透明な素材を使用するため目立たない
デメリット
- 歯を移動させるため半年〜1年と治療期間が長い
- 装置着脱が可能のため装着時間を自己管理しないと治療期間が延びることがある
- 動かした歯が後戻りしないように治療後は動いた歯を安定させる期間が必要(リテーナーの装着が必要)
(3)ラミネートベニアのメリット・デメリット
メリット
- 歯の表面に貼り付けるだけなので治療期間が短い
- 歯を動かすことはしないので移動に伴う痛みなどがない
- 歯並びや噛み合わせを治す歯科矯正よりもリーズナブル
デメリット
- 健康な歯を削る必要がある
- 経年劣化するため作り変える必要がある
- 歯並びや噛み合わせは改善できない
(4)ダイレクトボンディングのメリット・デメリット
メリット
- 歯の表面に貼り付けるだけなので治療期間が短い
- 健康な歯を削る必要がない
- 歯を動かすことはしないので移動に伴う痛みなどがない
- 金額がリーズナブル
デメリット
- レジンの色を歯と完全一致させるのは難しく医師の技量に左右される
- 数年で変色することがある
- 経年劣化するため作り変える必要がある
- 歯並びや噛み合わせは改善できない
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