「八重歯」とは、前から数えて3番目に位置する犬歯が乱れた歯並びのことです。
八重歯の治療を検討する人も少なくありません。
しかし、「八重歯を抜歯して後悔した」という声もあることは事実です。
この記事では、八重歯の抜歯にともなうリスクや、抜歯せずに治療する方法などについて解説します。
抜歯してしまってから後悔しないよう、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. 八重歯とは|放置するリスク、抜歯するリスクがある
八重歯とは、前から数えて3番目の歯(犬歯/糸切り歯)が乱れた歯並びのことです。
「乱ぐい歯」と呼ばれることもあります。
八重歯の原因として代表的なものは以下のとおりです。
- 顎の骨が小さく、歯を並べるスペースが足りないため、犬歯が前に飛び出た
- 生まれつき歯が大きいため、歯を並べるスペースが足りず、犬歯が前に突き出た
- 成長の過程で犬歯の歯胚(歯を支える骨の中に生まれる歯の基・根っこ)がズレた
日本では八重歯は「可愛らしい歯並び」とされることもありますが、八重歯を放置するリスクもあるため、治療するのがおすすめです。
なお、歯科矯正で八重歯を治療する場合、八重歯を抜歯するケースと、抜歯しないケースがあります。
八重歯の治療を検討している人は、八重歯を放置するリスクや、抜歯のリスクについてきちんと理解しておくことが重要です。
(1)八重歯を放置するリスク
八重歯を放置すると、口が閉じにくくなり、口呼吸が習慣化してしまったり、口内が乾燥しやすくなったりしてしまいます。
これにより、以下のようなリスクが生じます。
- 虫歯
- 歯周病
- 口内炎
- 口臭
- 口周辺の筋肉の衰え
口内が乾燥すると、雑菌が繁殖し、虫歯・歯周病が進行しやすくなり、また口臭が発生しやすくなります。
また、口呼吸が習慣化すると、口を閉じる筋肉が衰え、顔の輪郭が歪む可能性もあります。
こうしたリスクを回避するためには、八重歯を治療する必要があります。
2. 八重歯を抜歯したほうが良いケース|抜歯するメリット
八重歯の治療は、抜歯ありのケースと、抜歯なしのケースに分けられます。
それぞれの歯並びによって抜歯の必要性は変わりますが、抜歯の必要性が高い代表的な例は以下のとおりです。
- 八重歯を抜歯することで噛み合わせを治療しやすいケース
- 八重歯を抜歯することで歯周病のリスクを抑えられるケース
- 八重歯の寿命が短くなっているケース
(1)八重歯を抜歯することで噛み合わせを治療しやすいケース
八重歯を抜歯することで噛み合わせを治療しやすいケースでは、抜歯されることが多いです。
特に、八重歯が歯並びから大きく逸脱している一方で、八重歯以外の歯並びは整っている場合、抜歯の必要性が高いことが多いはずです。
このようなケースで八重歯を抜歯すると、噛み合わせを改善しやすくなります。
噛み合わせを治すと、以下のようなメリットを享受することができます。
- 咬筋の負担が分散され、肩こりや頭痛、顎関節症などが生じるリスクを抑えられる
- 咀嚼が改善され、胃腸への負担が軽減される
- 歯の負担が軽減され、歯の寿命が延びる
(2)八重歯を抜歯することで歯周病のリスクを抑えられるケース
八重歯によって歯が重なり、歯周病が発生しているケースや、歯周病が発生するリスクが高いケースがあります。
具体的には、歯と歯が重なっており、歯磨きがしにくい歯並びや、歯の間にものが挟まりやすい歯並びが挙げられます。
こうしたケースでは、抜歯の必要性が高いことが多いです。
八重歯は歯を支える骨「歯槽骨」が薄く、歯周病が進行しやすいという特徴があります。
そのため歯周病治療を並行して歯並びを治すのではなく、抜歯を伴う矯正が行われるケースが多いのです。
(3)八重歯の寿命が短くなってるケース
八重歯が虫歯になっていたり、歯の根(歯根)が割れていたりしている場合は、抜歯の必要性が高くなります。
こうした八重歯の寿命がそもそも短くなっているケースでは、八重歯以外の歯にダメージが発生しないためにも抜歯が推奨されています。
3. 八重歯を抜歯しない方が良いケース|抜歯のデメリット
いっぽうで、八重歯を抜歯しない方が良いケースもあります。
そもそも原則として、八重歯は歯の根っこ(歯根)が長くて寿命も長く、歯列全体の噛み合わせのために重要な役割を果たしています。
そのため抜歯しないで良い場合は、抜歯しない方が良いでしょう。
その代表的なケースとしては、以下のとおりです。
- 八重歯以外の歯が重なり、歯周病のリスクが高まっているケース
- 他の歯を抜歯することで、歯を並べるスペースをつくれるケース
- 歯の研磨などによって、歯を並べるスペースがつくれるケース
(1)八重歯以外の歯が重なり、歯周病のリスクが高まっているケース
八重歯の位置によって八重歯以外の歯が重なり、歯周病が発生しているケースは、抜歯の必要性が低いです。
八重歯自体の歯周病が疑われる状態と違い、このケースでは、八重歯の位置だけが問題となります。
抜歯以外の方法でも八重歯を移動させることは可能です。
そもそも、八重歯は他の歯よりも歯の根っこ(歯根)が長く、歯列全体の噛み合わせにとって重要な歯となります。
そのため抜歯の必要性が低いケースにおいては、抜歯せずに移動させることも少なくありません。
(2)他の歯を抜歯することで、歯を並べるスペースをつくれるケース
前提として、抜歯は、主に歯を動かすスペースをつくるために行われます。
そのため他の歯を抜歯する方が都合が良い場合、八重歯の抜歯が行われることはありません。
例えば、出っ歯と八重歯を併発しているケースでは、八重歯ではなく奥歯(臼歯)の抜歯が行うことが多いです。
臼歯を抜歯することにより、歯列全体を奥に下げることが可能となり、また出っ歯を改善することができるためです。
(3)歯の研磨などによって、歯を並べるスペースがつくれるケース
歯を動かすスペースを確保する手法には、抜歯のほかにも、IPR(ディスキング)や、側方拡大、臼歯の後方移動などがあります。
- IPR(ディスキング):歯を研磨して削る手法
- 側方拡大:歯列全体を側方に拡大する手法
- 臼歯の後方移動:奥歯を後方に移動させる手法
これらの手法により、歯を動かすスペースが確保できる場合は、八重歯を抜歯せずに治療を行います。
4. 八重歯を抜歯すべきか判断するポイント
基本的に、歯科矯正の知識を持たない人が、八重歯を抜歯すべきか判断するのは困難です。
しかし矯正前のカウンセリングなどで話をスムーズに行うためにも、抜歯すべきか判断するポイントを知っておくのは良いことでしょう。
抜歯すべきか判断するための主なポイントは以下のとおりです。
- 八重歯に歯周病はないか
- IPRや側方拡大など、抜歯以外の方法で対応できないか
- 奥歯を抜歯する選択肢はないか
八重歯は寿命が長く、噛み合わせにおいても重要な役割を持つ歯です。
そのためできるだけ八重歯以外を優先的に抜歯したり、抜歯以外の手法によって歯を動かすスペースを確保したりすることが重要です。
5. 八重歯を矯正する方法
ここまで、主に八重歯と抜歯に関するトピックについて解説してきました。
しかし八重歯の矯正をする際は、抜歯の有無とは別に、自分に合った手法を選択する必要があります。
主な治療方法としては、以下のとおりになります。
- 表側矯正
- 裏側矯正
- マウスピース矯正
(1)表側矯正(ワイヤー矯正)
表側矯正とは、歯の表側に矯正装置を取り付け、歯を動かしていく方法のことです。
抜歯を伴う治療など、歯を大きく動かすケースに向いているといわれています。
一方、矯正中の見た目が気になるなどのデメリットがあります。
表側矯正の費用の相場や治療期間の目安、メリット・デメリットなどは以下のとおりです。
(2)裏側矯正
裏側矯正とは、歯の裏側に矯正装置をつけ、歯を動かしていく方法のことです。
裏側矯正は、矯正中の見た目が目立たないなどのメリットがあります。
ただ、歯科医師に高度なスキルが求められるため、その分治療費が高くなるデメリットがあります。
裏側矯正の治療費や治療期間などについては以下のとおりです。
(3)マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、薄く透明なマウスピース型の矯正装置を使い、歯を動かしていく方法のことです。
ワイヤー矯正よりも費用相場が安く、治療期間が短く、痛み・不快感が少ない治療法として、近年注目が集まっています。
マウスピースは透明で目立たないため、周囲に知られることもなく、生活面でも支障が出ることがほとんどありません。
そのため「矯正をすることが恥ずかしく他の人に知られたくない」という方におすすめの治療法です。
マウスピースは取り外しができるため、食事のときや歯磨きのときには外すことができます。
したがって、ワイヤー矯正をしている人が感じるような食事のときの苦痛はなく、口の中も清潔に保つことができます。
6. 月々3,600円から始められるマウスピース矯正「hanaravi(ハナラビ)」
歯科矯正には、さまざまな手法・方法があり、必ずしも八重歯の抜歯を伴う治療を行うわけではありません。
しかし八重歯の抜歯が必要なケースもあるため、このあたりの判断を行うためには、医師の専門的な知識が不可欠です。
マウスピース矯正のhanaraviでは、歯科矯正の知識・経験が豊富な医師のみを厳選しており、安心して治療を受けることができます。
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